研究概要 |
昨年度に引き続き,ミュンヘン工科大学Schottky研究所のグループとの共同研究を行い,(GaAs)_5/(AlAs)_2超格子を含むpinダイオードでのワニエ・シュタルク振動の研究を行った.同研究所のAbstreiter教授のグループから試料の提供を受け,Vogl教授のグループによる理論の実証実験を行った. 実験では,pinダイオードに逆バイアスを印加したときに流れるZener電流の微分信号をロックイン法を用いて観測し,トンネル電流とi層部分に形成されるシュタルク局在準位との共鳴混成を観測した. 実験の結果, 1ツェナ-トンネル電流の二階微分信号に数個のピークを観測し,またそのピークは理論曲線に現れるピークと良い対応を示した. 2光学実験(エレクトロリフレクタンス法)により求めた,シュタルク局在状態のエネルギーは,ツェナ-トンネル電流に現れる共鳴電圧と,よい一致を示した. 以上より,本研究の結論として,理論的に予測されていたツェナ-トンネル電流のワニエ・シュタルク振動を,世界で始めて観測し実証した.
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