研究概要 |
1.全固体薄膜二次電池の試作 V_2O_5膜(正極)/Li_3PO_<4-x>N_x電解質膜/Li_xV_2O_5膜(負極)で構成された全固体二次電池を試作し,良好な二次電池特性を得ることができた.とくに,繰り返し特性,自己放電特性,再現性などに優れた信頼性の高いデバイス電源であることが確かめられた. 2.マイクロ二次電池のための基礎検討 電子線描画装置を用いて,マイクロ二次電池のための基礎検討を行った.とくに,バッファ層に高融点金属シリサイドを採用してSiウェーハ上で動作する小型で超薄型のリチウムイオン固体二次電池の試作を実現した.LSIチップのモノリシック電源デバイスへの応用が期待できる. 3.計算機実験によるリチウムイオンのシミュレーション 分子動力学法を用いて,V_2O_5膜内(正・負極活物質)でのリチウムイオンの挙動をシミュレートするための計算機実験をスタートさせた.とくに,複雑な層状構造をもつV_2O_5格子の安定化に成功し,各原子の動きを,任意の温度と圧力下ではじめて実時間でシミュレート可能となった. 4.Si太陽電池との複合電源化の検討 本研究で開発された全固体二次電池のSi太陽電池による充電特性を調べ,良好な結果を得た.これにより,商用電源コードの要らない複合型全固体薄膜二次電池の可能性を明らかにできた. 5.今後,薄膜二次電池のパッシベイションのための表面コーテイング技術を解決し,電池の大面積化及び積層化技術を検討する必要がある.
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