研究概要 |
摺動を伴うトライボ特性の評価では,対象とする力の範囲が広いこと,また測定においてこれらの分離性が高いこと,摩耗損傷に対する耐久性が高いことが要求される.そこで,ダイヤモンド触針を固着したカンティレバ-を対象に,垂直力・水平力を分離して測定する機能分離型のカンティレバー構造,マイケルソン干渉位相差法を用いてカンティレバ-の広領域の変位を測定するための三次元画像計測,カンティレバ-の歪みから力を直接測定するためのシリコンカンティレバ-について研究を進めた. 変位と捻れの分離検出が可能な方法として,ツインレバ-を先端で横バ-に,基端でベースレバ-に連結したゲート型の構造を提案し,ツインレバ-歪みの差動出力とベースレバ-歪みの出力からそれぞれ捻れと変位を測定する構造を提案するとともに,この構造により機能分離が可能であることを実験的に確認した. カンティレバ-表面と試料表面に同時に形成したマイケルソン干渉縞を用いて,変位を測定する方法について,高速VTRを用いて,ディスクと触針を接触させた状態から分離させる瞬間のカンティレバ-の挙動を撮影して,画像解析により両者の相対位置関係を計測する実験に成功した.本方法ではカンティレバ-の三次元的な変形を同時に測定できるために,相対運動に伴う表面力を測定する方法として有用性が高いと考えられる.しかし,多量の情報をもつ画像データのなかから,ノイズを除去した有効なデータのみを抽出する画像処理手順を確立する必要があり,今後の検討課題である. 試作したシリコンカンティレバ-の出力特性については,50μmまでの線形出力,26μV/μmの感度をもつこと,また伝達関数より,ばね定数・等価質量などの同定が容易に行えることなど,トライボ特性の評価に有効であることを確認した.しかし,温度・風速などの影響を受け易いために,安定化に課題が残される.
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