研究概要 |
本研究の目的は,練り混ぜ・温度・経過時間に伴う変化を考慮できる。フレッシュコンクリートの多相流動解析モデルを構築することにある.まず,コンクリートをペースト・細骨材・粗骨材の3相から構成される材料とし,粗骨材および細骨材はそれぞれ均一な粒子径を持つ固体粒子の集合体に,ペーストは粘性流体にモデル化し,全体を構築した。各相の運動方程式から,全体の構成則が算定されるのである。 各固体粒子の運動は,各相内の平均的な運動と粒子相互の接触や衝突による変動する運動により記述される。各相内に発生する応力は,これらの各粒子間の相対速度によって支配される。これらの現象を考慮し,質量・運動量・エネルギーの保存則に基づき,各相の支配方程式を導出した。さらに、各相間の相互作用を考慮し,直応力が存在する場合の剪断応力の変化をも表現できるモデルとした。 構築された構成モデルを用いて各種配合条件下でのフレッシュコンクリートの剪断応力とひずみ速度の関係について感度解析を実施した。粗骨材相が剪断応力の発生に最も大きな影響を及ぼし,モルタルの存在や高粘性のペーストが粗骨材粒子相互の接触や衝突を抑制する働きを持つことが表現された。本研究により,フレッシュコンクリートの流動解析を実施するための基礎となる構成則のフレームワークが完成したといえる。 ペーストの構成則に粉体粒子の凝集構造を取り込んだモデルとすることで,練り混ぜ・温度・経過時間に伴う変化を精度よく予測可能なモデルとすることが可能と思われる。
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