研究概要 |
地盤の弱部を補強する注入工法では,土の間隙径分布が計測されないできたためか,理論的究明がなされないでいる状況にある.土の間隙径分布計測法として提案している「空気圧入法」は,飽和土試料への空気圧入により一次元方向に貫通する空気道が形成された間隙部分を毛管モデルで近似する仮定に基づいている.本手法の精度等について検討した結果,(1)毛管モデルそのものである毛管模型に対する計測で計測原理・整理法の妥当性や(2)細砂・粗砂に分類される土試料についての計測の適用性がそれぞれ検証された.また,三次元的な評価という面をもつ水分特性曲線からの推定間隙径分布に較べて,(3)粒度に関係なく狭い範囲で頻度が高い均等な分布となる,(4)平均間隙径は1〜2割小さくなる等の傾向が見出された. 次に,砂層の間隙径と注入材粒径の関係について空気圧入による注入実験で調べた結果,(5)侵入可能な注入材粒径は砂層の平均間隙径の6割程以下であること,(6)注入材粒径の平均間隙径に対する比率の僅かな変化に伴って砂層の高さ方向における注入材の侵入長や注入量の分布が変化することが判明した.更に,(7)本手法の平均間隙径は平均粒径の約1/3の大きさであり,平均間隙径は平均粒径,間隙比と良好な関係で表現されることを利用して,(8)注入後の平均間隙径を推定すると,注入前の平均径に較べて1〜2割程度減少することが見出された. 更に,応用的研究として,推進工法の長距離化,曲線部の増加に伴って管外周に生じる摩擦抵抗を定量的に分析するためのリングせん断試験による検討は,せん断帯が明瞭に現れ,せん断帯構造を間隙径分布の変化として計測することに失敗したため,検定作業に留まった結果となった.
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