研究概要 |
緩い砂・礫質地盤や岩屑盛土の地盤改良工法の一つに重錘落下締固め工法がある。この工法は,対象とする地盤全体を一様に締固めることを目標にしているが,打撃点直下では高密度に締まった領域が球根状に成長していくことが見出されている。本研究は,この点に着目して基礎位置となる地点を重錘打撃と埋戻しを繰り返して強い締固め球根を生成させ,これを直接基礎へ応用する「締固め球根基礎工法」の開発と適用性を研究目的としている。この工法に関わる要因として重錘条件(質量,底面積),打撃条件(打撃回数,パス回数),基礎の底面積を取り上げ,締固め球根の支持力特性に与える各要因の影響を遠心模型実験によって調べ,良好な支持力を得るための施工条件および実際の現場への適用方法を検討した。 本研究で得られた結論は,1)締固め球根基礎は,未打撃の初期地盤に比べて極限支持力は200倍以上,地盤反力係数は約10倍に増加し,高い支持力を得ることができる,2)重錘質量が20t以下では,想定する基礎底面積よりも大きな底面積をもつ重錘を用いる方が高い支持力が得られる,3)重錘質量が40t以上では,逆に基礎の底面積よりも大きな重錘底面積を用いると支持力が劣ったが,これは埋戻し層の締まり方が小さいためであることた推察された。4)同じ重錘質量の場合では,重錘底面積が大きい方が高い支持力が得られる。これらの結果から,締固め球根基礎工法を実際に用いる場合の設計法として地盤反力係数と許容沈下量に着目する方法を提案し,具体的な基礎の配置と支持力の試算によってこの工法の有用性を見出した。またこの工法は,地盤の液状化対策にもなり,杭基礎のような地盤との相互作用を考える必要もなく,現地材の締固めのみによるので建設残土が生じることもなく,非常に経済的であることを提示した。
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