研究概要 |
希土類金属としてネオジム(Nd)を対象にして研究を行い,以下の知見を得た. 1.予備実験 還元系の示差熱分析を行い,カルシウム還元の反応開始温度1093Kを決定した.次に,スラグ系(NdF_3-CaF_2系)の熱分析を行い,状態図の概略を推定した.また,酸素との親和力の強いNd中の酸素の定量にあたり,抽出温度や浴組成などの分析条件を検討し,分析方法を確立した. 2.カルシウム還元工程の最適化 NdF_3とCaを,還元温度,還元時間,添加Ca量を変えてMo坩堝中で反応させ,高純度な金属Ndを塊として得るための最適条件を決定した.本実験の最適条件の決定は,純度評価,ならびに還元率の評価のみならず,一貫プロセスの観点から,スラグ-メタル間およびスラグ-坩堝間の分離性の良否の検討も加えて,総合的に評価した. 3.真空溶解除去精製の最適化 市販の金属Ndと金属Caを使用して真空溶解処理のモデル実験を行った.坩堝はMoを用いて,処理温度,処理時間,初期不純物濃度,攪拌条件を変化させ,Caならびにガス系不純物の除去の最適条件を決定した.本実験の最適条件の決定は,真空を利用した不純物成分の揮発除去のみならず,カルシウム還元ならびに真空溶解処理中にNdに溶解した坩堝材成分の固相析出除去も考慮して行った. 一貫プロセスの最適化 カルシウム還元工程ならびに真空溶解処理の実験から得られた個別の最適条件を,一貫プロセスの観点からそれぞれの実験にフィードバックさせ,一貫プロセスとしての最適条件, カルシウム還元:還元温度は1750K程度,還元時間は0.9ks,添加Ca量は還元反応式の化学当量から計算されるモル数の1.2倍とする. 真空溶解処理:溶解初期は高温(1500K程度)で攪拌しながら1.2ks程度保持し,その後のNdの融点直上まで降温して,約3.6ks保持する. を決定した.
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