研究概要 |
・本研究では、重質油の有効利用に関する基礎研究および高性能触媒の開発を目的として、難脱硫性化合物の脱硫反応機構を解明するために、^<35>SでラベルしたCo-Mo/AL_2O_3触媒を用いて4-メチルジベンゾチオフェン(4-MDBT)および4,6-ジメチルジベンゾチオフェン(4,6-DMDBT)の脱硫反応を行い、作動状態での触媒中の硫黄の挙動を定量した。^<35>Sで脱硫反応を行い、Co-Mo/AL_2O_3触媒を^<35>Sで標識した後、1.0wt%4-MDBTのデカリン溶液を導入すると、触媒に取り込まれた^<35>Sは4-MDBT中の^<35>Sと交換し、^<35>S-H_2Sとして放出された。4-MDBTの導入後、触媒から放出される^<35>Sの放射能量は、触媒上で^<35>Sに標識された全硫黄の放射能量より小さいことがわかった。これは一部の^<35>Sが触媒に残ったまま4-MDBTの反応に関与しなかったためと考えられる。さらに、4-MDBTの代わりに4,6-DMDBTを用いた場合にも、同様の結果が得られた。同じ反応条件下で触媒中の移動可能な硫黄量はDBT>4-MDBT>4,6DMDBTの順で減少した。この傾向は脱硫反応の転化率の傾向と一致した。このことは^<35>S-DBTの脱硫反応において、触媒に取り込まれた^<35>Sは、4-MDBT及び4,6DMDBTの反応では完全に押し出すことができないことを示しており、DBTの脱硫反応に関与する硫黄の一部しか4-MDBT及び4,6-DMDBTの脱硫反応に関与しなかったと考えられる。つまり、DBTと4-MDBTあるいは4,6-DMDBTとでは、脱硫活性点が異なることが示された。
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