研究概要 |
金属表面の活性化を亜鉛、マンガン、クロムの3種類の金属を用いて検討し、以下の研究成果を得た。(1)亜鉛金属表面の活性化と電子移動のメカニズムの解明を有機反応を通して行った。種々の添加物、とくに微量の鉛やMe_3SiCl、HMPAなどの添加によって、反応経路が大きく変わることを見いだした。電気化学からのアプローチとして、サイクリックボルタンメトリーなどの装置を用いて、亜鉛などの金属の酸化還元電位に与える、微量の鉛の添加や種々の活性化の影響なども調べた。(2)マンガン金属が微量の塩化鉛(II)とクロロトリメチルシランの添加により活性化されることを見いだした。この活性化したマンガンを用いるヨウ化アルキル、α,β-不飽和エステル(あるいはニトリル)、アルデヒド(あるいはケトン)の3分子連結反応を見いだした。ラジカルと陰イオン種を連続的に発生させることにより、炭素-炭素結合を段階的に生成するという新しい手法を開発・提唱することができた。この手法の応用として、マンガン還元により生じたアルキルラジカルの、アリルアルコール類のアクリル酸エステル誘導体に対する1,4-付加をきっかけとするIreland-Claisen転位反応を開発した。(3)塩化クロム(II)を用いてラジカルと陰イオン種を連続的に発生させ、ヨウ化アルキル、1,3-ジエン、アルデヒドの3分子を連結する反応を開発した。以上の研究成果は、学術論文あるいは口頭発表として報告した。
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