研究概要 |
アレーンやアルカンのC-H結合活性化を経る次の二つの新反応の開発研究を行った. 1.温和な条件下(常温,常圧)でのアレーンのCOによるカルボキシル化反応の開発 (1)酢酸パラジウム/過硫酸カリウム/トリフルオロ酢酸系触媒により,ベンゼン,トルエン,アニソール,クロロベンゼン等のアレーンがCOにより常温常圧という温和な反応条件下でカルボキシル化され,高収率で相当する芳香族カルボン酸を与える新反応を見いだした. (2)本反応は親電子的に進行し,ベンゼン環に電子供与性置換基があるとオルト-パラ配向性を示し,ナフタレンの反応ではα体が主生成物(α/β=7/1)となる. (3)ビフェニルとCOの反応からは9-フルオレノン,4-フェニル安息香酸およびジカルボン酸がそれぞれ10%,47%,43%収率で生成し,ジカルボン酸としては,4,4′体が主生成物となる. 2.アルカンのアミンN-オキシドによるアミノメチル化反応の開発 (1)酢酸銅/過硫酸カリウム/トリフルオロ酢酸系触媒により,エタン,プロパン等のアルカン(10atm)が種々のメチルアミンN-オキシドによりアミノメチル化され相当するアミンを高収率で与える新合成反応を見いだした. (2)反応条件としてはアルカン(10atm),酢酸銅(0.05mmol),過硫酸カリウム(1mmol)をトリフルオロ酢酸(5ml)と共にオートクレーブに仕込み,150°Cで20時間撹拌すると最高収率が得られることが明らかになり,プロパンとトリメチルアミンN-オキシドの反応からはN,N′-ジメチルイソブチルアミンが高収率で得られた. (3)機構的検討により,本反応はメチルアミンN-オキシドと溶媒のトリフルオロ酢酸よりイミニウム塩(H_2C=N^<【symmetry】>R_2・CF_3COD^<【.horizontally divided circle.】>)が生成し,これにアルキル銅が求核的に攻撃して進行すると考えられる.
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