研究課題/領域番号 |
07455366
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
大寺 純蔵 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20131617)
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研究分担者 |
折田 明浩 岡山理科大学, 工学部, 助手 (30262033)
佐藤 恒夫 KURASHIKIUNIV.OF SCIENCE AND THE ARTS,PROFESSOR (80183383)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 遠隔不斉誘導 / ジアステレオ選択性 / 立体電子効果 / シグマ^*-パイ相互作用 / アルファ、ベータ不飽和ケトン / アルファ、ベータ不飽和アルデヒド / 不斉 / カルボニル / 付加 / 還元 / π-電子 |
研究概要 |
反応の立体化学を意のままに制御する手法を確立することは現代有機化学の最大の課題である。なかでもジアステレオ選択的反応の開発は最も重要であり、広範な取組みがなされてきた。従来の手法はいずれもクラム則に基づく分子の崇高さを利用するか、あるいはキレート効果を利用して反応経路を制御するものである。この方法は分子内に存在する不斉点の近傍の立体制御には有効であるが遠隔反応点での不斉誘起には適さない。したがって、遠隔不斉誘導には新しい概念を確立する必要がある。本研究では、立体的崇高さの代わりに電子的効果により不斉が誘起されることを初めて明らかにした。 アルファーベータ不飽和カルボニル化合物のガンマー位にヘテロ官能基を導入するとカルボニル基の還元がジアステレオ選択的に進行する。とくに、ガンマーフェニルチオ-アルファ、ベータ不飽和ケトンを基質とした場合その選択性は97:3にまで向上する。ヒドリドの攻撃はフェニルチオ基の反対側から起こる。一方、対応するアルデヒドの場合には崇高くないヒドリドは同様にフェニリチオ基のアンチ側から攻撃するが崇高くなるとシン側からの攻撃が主となる。これの結果はフェニルチオ基の崇高さに基づいては説明できない。明らかに電子効果が主要な役割を果たしている。X‐線解析の結果、C‐S結合はエノン平面に対して垂直に立っている。したがって、C‐S結合と共役系とのシグマ^*-パイ相互作用によりカルボニルの電子状態に不斉を誘起する状況が生じたものと解釈される。 ガンマー位の置換基がアルコキルの場合にも不斉誘導は認められるがその選択性は70:30程度である。ただし、アルコキシル基の種類によってシン/アンチ配向性が異なる。これは基底状態におけるエノンの配置構造の違いが反映されたものであり、いずれの場合もヒドリドの攻撃はアルコキシル基の反対側から起こっている。 以上、本研究においてジアステレオ選択性が立体電子効果により制御できることが初めて明らかにされた。
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