研究概要 |
固体高分解能NMRによる合成ポリぺプチドの固体構造研究はタンパク質の生体中における構造研究に有効な手段となりえると考えられる. 本研究課題では,^<13>Cと^<15>N核の化学シフトテンソル主値(δ_<11>,δ_<22>、δ_<33>)に着目し,化学シフトテンソルとポリぺプチド固体構造(アミノ酸残基の種類・アミノ酸配列・コンホメーションなど)との相関を解明することを目的とした,次のような研究成果を得た. (1)「固体高分解能^<15>NNMRによるポリぺプチドの隣接アミノ酸配列効果の研究:^<15>N化学シフトテンソルと隣接アミノ酸配列との相関」 ^<13>C,^<15>N,標識アミノ酸を含むアミノ酸配列の異なるαヘリックス形ポリぺプチド(18量体)を合成し,アミド^<15>N化学シフトテンソルからポリぺプチドの隣接アミノ酸配列効果を評価できることを明らかにした。従って,^<15>N化学シフトテンソルからタンパク質の特定部位の構造解析が可能となった. (2)「固体高分解能^<15>N NMRによるポリぺプチドの固体構造と^<15>N化学シフトテンソルとの相関」 ^<15>N標識L-アスパラギン酸含有コポリぺプチド,^<15>N標識L-リシン含有コポリぺプチドを合成し,^<15>N化学シフトテンソルと固体構造との相関を調べた結果,^<15>N化学シフトテンソルは極性側鎖の性質を反映したアミノ酸残基に特徴的なコンホメーション依存化学シフト挙動を示すことが明らかになった. (3)「固体高分解能^<13>C NMRによるポリぺプチドの固体構造と^<13>C化学シフトテンソルとの相関」 固体高分解能^<13>C化学シフトテンソルと固体構造との相関を調べた.その結果,^<13C>C化学シフトテンソルはコンホメーション依存のほか,特定部位との相互作用を反映することが明らかになった. 本研究では化学シフトテンソル主値とポリぺプチドの固体構造との相関を究明することができた.
|