研究概要 |
船体の疲労信頼性は,設計時の配慮とともに使用中の検査保守によって維持されている。しかし現状の検査がどの程度信頼性維持に貢献しているのか,また船体で望まれる信頼度を達成するにはどんな検査間隔と手法で検査すればよいのか,など定量的情報はほとんど把握されていない。そこで本研究ではまず,“ばら積貨物船の疲労損傷と検査"に関するアンケート調査を実施し,解析に必要な部材疲労特性や検査能力の情報を収集した。次に調査結果を用いて,繰り返し検査を考慮した信頼性解析と感度解析を行った。得られた主な結果は次のようである。 (1)ばら積貨物船の6つの部位の疲労特性と検査能力を得た。 (2)現状の検査を2年間隔と考えると,部位の破壊確率や亀裂長さ分布はアンケートと解析で一致した。 (3)使用中検査を全く行わなければ発生した亀裂の約90%が200mmを越えて成長し,約60%が500mmを越えるが,現状の検査によってこれらがそれぞれ約30%および10%に減少している。 (4)望ましい目標信頼度は,200mmあるいは500mmを越える亀裂個数をそれぞれ,現状の1/8あるいは1/16に減らすことである。目標値達成には,検査間隔2年をそれぞれ0.5年,1.5年に短くする必要がある。 (5)感度解析の結果,信頼度の向上,構造軽量化および検査省略に対する対応策を得た。
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