研究概要 |
アジア各地から収集したシャロットもしくはワケギ228系統を供試し,葉,球根や花の形態と開花特性に基づいてグループ化を試み,ほとんどの系統がシャロット群かワケギ群かに分類されることを示した. アイソザイム分析で,シャロットとワケギを容易に区別できること,日本,韓国,台湾の系統はすべてワケギで,タイ,マレーシア,バングラデシュの系統はすべてシャロットであるが,インドネシアにはシャロットとワケギが混在していることが明らかとなり,なかでも西ジャワおよび南スマトラでもっとも多くの特異的な変異が存在することから,この地域がワケギの起源地である可能性が示唆された.さらに,RAPD分析で遺伝的変異の多様性を,葉緑体DNAのPCR-RFLP分析で,ほとんどのワケギの系統は既知のようにネギを母親とした雑種であるが,一部の系統はシャロットを母親としたワケギであることをはじめて明らかにした. 生理学的にはまず,耐病性との関連が示唆されている球根の保護葉の色素と色素発現を調べ、主要アントシアニン色素(An)はシャロット、ワケギのいずれでもシアニジンであり、フラボノール(F1)としてはケルセチンのみが検出され,F1/Anはシャロットとワケギでは明らかに異なること、いずれの種にも紫外線除去下での色素発現が安定な系統と不安定な系統があることを示した.また,球根形成に及ぼす日長および温度の影響,球根の休眠の程度について調査し,日長不感応型系統や低温感応型系統が存在し,休眠の深さにも大きな変異があることを明らかにした.さらに,アイソザイム,DNAおよび形態に基づく分類のそれぞれの関連性についても検討し,ともに高い割合で関連していることを示唆した.
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