研究概要 |
1.2個の異なる置換基を有する1,3,5-トリアジン系化合物を合成することは困難であったが,イミドイルアミジンと酸無水物との縮合反応によって,2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-トリフルオロメチル-1,3,5-トリアジンおよび2-メチル-4-トリクロロメチル-6-トリフルオロメチル-1,3,5-トリアジンを合成することができた。他の多くの1,3,5-トリアジン系化合物は三量化反応と共三量化を用いて合成した。 2.フッ素置換基を有する1,3,5-トリアジン系化合物の硝化抑制作用は強くはなかったが,2-アミノ-4-トリブロモメチル-6-トリクロロメチル-1,3,5-トリアジン(pI_<50>=7.12)は標品の硝化抑制剤であるMAST(pI_<50>=5.31)よりNitrosomonas europaea ATCC25978に対して65倍強い抑制作用を示した。 3.N.europaeaは新しく考案したABC培地では従来のLewis&Primer培地より3倍生育速度が速かった。 4.このABC培地を用いて土壌から硝化細菌の単離を試みたが成功しなかった。 5.N.europaea ATCC25978,N.sp.TK794,Nitrobacter ajilis ATCC14123,およびN.sp.TH21を用いた生物試験の結果,合成した1,3,5-トリアジン系化合物はアンモニア酸化細菌のNitrosomonas属の生育を阻害していることが明らかとなった。 重炭酸アンモニウムを基質として用いたN.europaea ATCC25978菌の無細胞レベルでの酸素消費量測定の結果,合成1,3,5-トリアジン系化合物の標的酵素はアンモニアモノオキシゲナーゼであると考えられる。
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