研究概要 |
近年大区画水田における暗渠による土壌水の管理は重要性を増している.一般的に水田の土壌は均質ではなく,暗渠の埋め戻し部を含む成層条件を成している.暗渠の施工計画を合理的に行うために,成層土壌を通じて暗渠に流れ込む土壌水を定量的に解析する必要がある.かかる状況の下本研究では,成層条件の水田の暗渠排水効果,特に埋め戻し部のそれを有限要素法を用いて定量的に考究した.ここで得られた知見は以下の通りである. (1)成層土壌をなす水田における定常な浸透流の,等ポテンシャル線だけでなく流線も合理的に再現する数値解析方法を提案した. (2)埋め戻し部およびその直上の土層の透水係数は,土壌水の移動形態や暗渠からの排水量に大きく影響を及ぼすことを数値解析によって解明した.また,間隔間隔が5m以上になると暗渠からの排水量はほぼ一定になることが明らかになった.ここで行った数値解析の境界条件としては,田面に一定の湛水深を与え,また1m以深では不透層を与えた. (3)田面における湛水を排除した後,地下水位や土壌水分の低下および暗渠からの排水量などの経時的な変動を飽和-不飽和浸透流の非定常解析によって定量的に再現することができた.また暗渠の排水効果を高めるためには埋め戻し部の透水性を高めることが重要であることも同時に解明することができた. (4)実験圃場における観測から,それぞれ作土層,耕盤および心土の支持力と土壌水分は線形関係にあることを明らかにした.
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