研究概要 |
下の4項目について測定し,解析した。 (1)土壌水分状態を変えた時のトマト植物の蒸発散量・生育量の相違 圃場容水量に調整した土壌ポットに25日齢のトマト苗を移植し環境制御温室で28日間生育し,この間,土壌水分量が圃場容水量の15%,30%,45%,60%低下したときに圃場容水量に戻すように潅漑する区,および無潅漑の5種類の土壌水分状態に管理した。週平均蒸発散量,単位日射量当たり蒸発散量,移植後28日後までの総蒸発散量,バイオマス生産量,窒素含有量のいずれもが多水分区ほど有意に多かった。乾物生産からみた水利用効率は,潅漑区では有意差がなかったが,無潅漑区で有意に低かった。 (2)土壌水分の流れの測定と解析 圃場容水量にある供試土壌に501cmH_2O,1000cmH_2O等の圧力をかけたとき直径3mmの素焼き管を通して得られる水分量の測定値は時間の指数関数で近似された。この土壌の水分伝達関数は静利得k,時定数Tの一次遅れ要素で近似される。この土壌から総量mの水分を1日にd日間,時間の三角関数で吸水する場合,水が土壌中を根まで移動する際の水ポテンシャル低下量の最大値はm/kに比例し,比例係数は〔(2T/d)^∧2+(1/2)^∧2〕^∧(1/2)+1/2で近似されることが示された。 (3)土壌水分測定センサーの開発 2本の円筒状ヒーターの中間に温度センサーを配し,矩形パルス状の発熱をしたときの温度センサーにおける最高温度とその出現時刻から体積熱容量,温度拡散係数,熱伝導率を同時に測定するセンサーを開発した。体積熱容量の測定値から土壌水分量の変化を推定できることが示された。 (4)葉傾斜角の3次元分布解析 カメラを用いてトマトの容姿を撮影しコンピュータメモリーに取り込んで葉傾斜角の3次元分布を能率良く検出する方法を開発した。植物は水分不足になると膨圧の低下により茎葉が萎える。画像情報を基に部位毎に葉の萎え具合をオンライン検出し植物の水不足状況を植物体を傷つけることなく知ることができるので,植物の水分管理に利用できる。
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