研究概要 |
温熱環境を適切に管理するには,環境構成要因を的確に把握することと,家畜の体温調節に関する知識が必要である。家畜の生産性は高められ,その熱産生量は著しく高く,体温調節との関係で特性として捉え,環境管理技術に役立てなければならない。本研究では,熱収支を基盤とし,体温調節性生理反応と組合わせて解析し,考察を深めた。 牛では,体温が朝低く夜高くなる日リズムと,温度や熱産生量に応じて変化するレベルを捉えて解析した。その結果,リズムは固有の現象であり,生ずる理由は,温度に対する感受性が日内で変化すると考えた。なぜならば,朝体温が低いのは,その体温で体熱を放散できるからであり,感受性が高いといえるからである。また,逆に体温が夜に高いのは,感受性が低く体温を高くしなければ放熱できないからである。体温レベルについては,体温の上昇は,体熱を放散できないことから生ずるのではなく,必要な放熱を維持するために積極的に変化したこと,すなわち,放熱性の反応はいずれも体温の上昇なくしては生じ得ないからである。鶏では,高温感作の経験の重要性や明・暗に対応した体温調節上の特性が認められた。体温調節については,運動負荷によって体温を上昇させ,体温が放熱反応を調整していることを確認した。また,常温から高温域に変わると,血液粘度が特異的に低下するが,この現象のメカニズムを明らかにでき,高温移行時の体温調節に関する理解を深めることができた。 これらの成果は,給餌時刻や防暑技術の運用時間帯の決定などに対して,適切な論拠を与える役割を果たし得るものと考えられた。
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