研究概要 |
機能の異なる臓器の血管運動を制御する中枢機序を説明出来る統一理論として,申請者らは“オツシレーター及びゲート理論"を提案した。この理論はネコの交感神経活動の結果から導かれた。そこで,この理論が他の動物の血管運動制御の中枢機序に対しても一般化出来ることを実験的に証明し,心・血管運動中枢の制御機構を解明することを目的とした。 体の大きさによってどの様な影響をうけるかを検討するため体重が200〜400grのラツト,体重が2〜4kgのネコ及び20〜30kgのミニブタをネンブタール麻酔し,腎交感神経活動を記録した。原波形を整流後20ミリ秒の時定数のRC積分器を用いて積分波形を求めた。この波形から群放電を検出し,周波数が8〜12HzのTcリズムと心拍周期に同期したTbリズム成分を抽出出来た。Tcリズム成分はラット,ネコ,ミニブタの間で差がなく,個体差も小さく大体一定していたので補乳動物に共通した基本リズムと考えることが出来た。即ち,体の大きさ(体重)とは無関係なTcリズム成分はオツシレーターとしてのペースメーカー細胞から発生しており,体の大きさと関係する神経ネットワークではないことを示唆している。他方,Tbリズムはラットで最も速く,ネコ,ミニブタの順でおそくなり,心拍リズムと一致しており,心電図R波からラットで約50ミリ秒,ミニブタで約180ミリ秒後に群放電の出現する確率が最大となった。これはこの時相でゲートが開になる様なゲート機構が働いていることを示唆した。
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