研究課題/領域番号 |
07457043
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山村 博平 神戸大学, 医学部, 教授 (90030882)
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研究分担者 |
定 清直 神戸大学, 医学部, 助手 (10273765)
柳 茂 神戸大学, 医学部, 助手 (60252003)
南 康博 神戸大学, 医学部, 助教授 (70229772)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | チロシンキナーゼ / Syk / コルタクチン / CD45 / チロシンホスファターゼ / SH2 / 過酸化水素 / ZAP-70 / 活性酸素 / ホスホリパーゼD / K562細胞 / DT40細胞 / TPA |
研究概要 |
我々の見い出したチロシンキナーゼSykの生理作用並びに病理作用を追求し以下のことを明らかにした。1)TPA刺激によって顆粒球や巨核球に分化していくK562細胞を用いてSykのdominat negative mutantを作成しTPA刺激等によるSykの機能を解析したところ、Sykは分子量80Kの蛋白質コルタクチンをTPA刺激依存性にリン酸化する。2)放射線照射とチロシン燐酸化について種々DT40細胞を用いて解析した。たしかに放射線照射はチロシン燐酸化活性を促進しアポトーシスをきたすが、Sykのみがこの反応に関与しているのではなかった。3)Sykの活性化とCyclic AMPの関係について多核白血球を用いて調べたところ、Cyclic AMP依存性蛋白質燐酸化酵素に依るSykの燐酸化そして不活性化を強く示唆した。4)Sykそのものの2つのSH2についてその作用の違いについて検討したところ、Sykの活性化に依るカルシウム動員作用等において2つのSH2共に必要であることを明らかにした。5)DT40細胞を用いてチロシンホスファターゼCD45をノックアウトしたところ、Syk及びLynのリン酸化は著明に促進する。しかしSykは少し活性が上昇するが、Lynの活性化はみられない。このことはLynのチロシンリン酸化部位である自己リン酸化部位(活性上昇)とCskによるリン酸化部位(活性制御)の双方がCD45によって制御されているが、Cskのリン酸化が強いと自己リン酸化部位がリン酸化されても活性の上昇にはいたらないことを示している。6)脳、神経細胞における新しいSykファミリーチロシンキナーゼを探索しているが、Sykと同じファミリーに属するZAP-70の抗体と反応する蛋白質をとらえた。現在この蛋白質のアミノ酸の順列を明らかにし、そのcDNAのクローニング行う予定である。7)Sykは活性酸素によって強く活性化されるが、これらの活性酸素の一つである過酸化水素はB細胞受容体の刺激同様、カルシウムの流入と細胞内チロシン残基の燐酸化を亢進させる。またこの細胞内カルシウムの増加やJNKの活性化などの生理的応答はSykに依存する。過酸化水素によるSykの活性化と浸透圧刺激によるSykの活性化の質的差異については、特にカルシウムの動員機構に大きな差を見つけた。8)Sykと先天性、後天性免疫不全疾患との関係の解析については、まだ症例を得ることができなかった。ただSykの欠損マウスが致死的であることが判明しSykに障害のある免疫不全症及び血液疾患の存在は予想される。
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