研究課題/領域番号 |
07457055
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
八木橋 操六 弘前大学, 医学部, 教授 (40111231)
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研究分担者 |
馬場 正之 弘前大学, 医学部, 助教授 (90106849)
和田 龍一 弘前大学, 医学部, 助手 (20260408)
八木橋 法登 弘前大学, 医学部, 助手 (10250622)
黒滝 日出一 弘前大学, 医学部, 講師 (40215108)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1995年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 糖尿病 / アルドース還元酵素 / ポリオール代謝 / 合併症 / トランスジェニックマウス / 腎症 / 阻害剤 / 末梢神経障害 |
研究概要 |
糖尿病患者の急激な増加に伴い、合併症への対策が重要な問題となっている。合併症の成因としてアルドース還元酵素を介するポリオール代謝が重要視されているが、その機序は未だに明らかでない。私どもはヒトアルドース還元酵素を多量に発現するトランスジェニックマウス(以下Tg)を作成し、ポリオール代謝の亢進がいかに合併症病変を引き起こすか検討した。またそれらの合併症病変がアルドース還元酵素阻害剤により、予防、あるいは治療可能であるかどうかについても検討した。今回の研究ではヒトアルドース還元酵素発現Tgをストレプトゾトシンにより糖尿病状態にし、その後経時的に8週、16週と経過観察し、その後の腎病変、および末梢神経病変について検索した。また糖尿病誘発後早期から、アルドース還元酵素阻害剤(ONO2235あるいはWAY509)を投与し、それらの合併症病変が予防可能かどうかも検討した。その結果、糖尿病のTgは糖尿病の非Tgに比べ、同等の高血糖状態、および体重減少の度合いにも拘わらず、より強い腎病変、および末梢神経病変を示した。腎病変としては糸球体腫大、およびメサンギウム領域の増大というヒト糖尿病性腎症と一致する変化を示し、とくにTgにおいて強い病変を認めた。また末梢神経においても神経伝導速度の低下、および有髄神経萎縮という変化を強く糖尿病のTgで認めた。一方これらの変化はアルドース還元酵素阻害剤の投与により、糖尿病のTgで非Tgのレベルまで回復を示したが、完全な正常状態にまでは至らなかった。これらの結果から、ポリオール代謝亢進が糖尿病性腎および末梢神経の障害の成因に重要な関わりを持つということが分かった。またアルドース還元酵素阻害剤が、合併症病変の予防に有効であることが示された。これらの実験結果はヒト糖尿病でアルドース還元酵素の発現の多寡により合併症の出現度が異なることを示唆しており、その発現の高いものでは早期からのアルドース還元酵素阻害剤の適用を考慮すべき必要のあることを示す重要なものと考えられた。
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