配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
1)NSP1遺伝子が正常なA5-13、500塩基の欠失があるA5-16、ナンセンス変異のため40アミノ酸しかコードしないA5-10の3種のクローンから、それぞれ大、中、小プラーク形成サブクローンを分離した。しかし、いずれのサブクローンも親クローンと同一のNSP1遺伝子を有しており、A5-13感染細胞ではNSP1蛋白を発現したが、A5-10およびA5-16クローン感染細胞ではNSP1蛋白の発現を検出できなかった。A5-10、A5-13,A5-16クローンのいずれを乳のみマウスに経口投与しても、下痢を発症した。これらの結果は、ロタウイルス感染には、in vitro,in vivoいずれにおいてもNSP1蛋白の発現が必須でないことを示す。従って、in vitroでの感染粒子構築が可能となった際、NSP1遺伝子への外来遺伝子の挿入が可能であることを示唆した。 2)ヒトロタウイルスの遺伝子の全塩基配列を世界で初めて決定した。 3)ヒトロタウイルスの6種のすべての構造蛋白質(VP1〜VP4,VP6,VP7)と5種の非構造蛋白質のうちの4種(NSP1〜NSP4)のバキュロウイルス発現系による発現を終了した。His-Tagを付加した発現非構造蛋白質の精製方法を確立したことで、今後、非構造蛋白質の機能を検討できる基盤ができた。 4)VP2とVP6の共発現で、1重殻粒子の自己集合空粒子を、VP2,VP6,VP7の共発現で、2重殻粒子の自己集合空粒子を得た。さらに、VP2とともに、VP1,VP3,VP6,VP7,VP4と複数の構造蛋白を共発現することで、遺伝子を含まない人工粒子を得た。この人工空粒子は、ワクチンとしての利用価値を検討する上で重要である。さらに、人工空粒子内に、いかにして分節した遺伝子を保有させるかの検討を開始している。 5)多数の各G血清型を有するヒトロタウイルスを用いて乳のみマウスの経口感染実験を行い、G2を除くG1,G3,G4,G8,G12のヒトロタウイルスでも下痢を誘発することを確認した。したがって、今後乳のみマウスを用いたヒトロタウイルスの感染防御実験が可能であることを示した。
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