研究課題/領域番号 |
07457147
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
黒木 由夫 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70161784)
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研究分担者 |
本田 泰人 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70190270)
秋野 豊明 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80045377)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 肺サーファクタント / サーファクタント・アポ蛋白質A / C型レクチン / コレクチン・ファミリー / 脂質結合蛋白質 / 生体防御機構 / 肺胞II型細胞 / コレクチンファミリー / 脂質代謝調節 |
研究概要 |
肺サーファクタント・アポ蛋白質SP-Aは、肺胞腔におけるリン脂質代謝動態を調節するとともに、肺における生体防御機構にも大きく寄与している。本研究は、C末端側にC型レクチン構造を有する「コレクチン・ファミリー」に属するSP-Aとその受容体に着目し、肺胞細胞の機能調節におけるSP-A関与の分子機構を解析することを目的として遂行された。平成7、8年度の研究実績を以下に要約すする。 1.肺胞II型細胞より形質膜を分離し、SP-A存在下、非存在下で、リン脂質リポソームとの相互作用を検討した。SP-A存在下では、Ca^<2+>依存性に、リポソームの特異的な形質膜への結合が認められた。ラット肝由来の形質膜では、肺胞II型細胞由来形質膜ほどのリポソームの特異的結合は認められず、リン脂質と肺胞II型細胞との相互作用においても、SP-A受容体が関与していることが示唆された。 2.肺胞蛋白症患者由来のSP-Aには正常よりも大きい異常多量体SP-Aの分子種が存在し、異常SP-Aは特徴的なリン脂質膜構造のTubular Myelin Structureを形成できなかった。さらに、肺胞II型細胞との相互作用において正常SP-Aより劣っており、この異常分子種にIgGが結合していることを明らかにした。 3.SP-Aとともにコレクチン・ファミリーに属するマンノース結合蛋白質(MBP)は、SP-Aの有するホスファチジルコリン結合能や肺胞II型細胞との相互作用を発現しない。そこで、SP-AのC末端側のGlu^<195>-Phe^<228>の領域をMBPのGlu^<185>-Ala^<221>の領域に置換したキメラ分子を作成し、SP-Aの機能を調べた結果、SPAのGlu^<135>-Phe^<228>領域とMBPのGlu^<185>-Ala^<221>領域は、SP-Aの機能に関しては相互に置換が可能であることが判明した。また、SP-Aのpoint mutationにより、ヒトSP-AのArg^<199>とLys^<201>、ラットSP-AのLys^<201>とLys^<203>の正電荷を持ったアミノ酸残基はSP-A機能の発現に必須ではないことが明らかになった。また、SP-Aによるリン脂質リポソーム凝集とリポソームの肺胞II型細胞への取り込み促進機能の機構が異なるを明らかにした。 4.肺腺がん患者胸水中のSP-A濃度は高値を示し、胸水由来癌細胞の多くで、SP-A mRNAとSP-A蛋白が発現していた。また、ProSP-Cに対する抗体による免疫細胞染色で77%が陽性であり、末梢性肺腺がんの起源細胞として肺胞II型細胞が多いことが示唆された。
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