研究課題/領域番号 |
07457149
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
小林 宏行 杏林大学, 医学部, 教授 (40086509)
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研究分担者 |
渡辺 秀裕 杏林大学, 医学部, 助手
河合 伸 杏林大学, 医学部, 講師 (70204667)
大垣 憲隆 杏林大学, 医学部, 助手
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1996年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1995年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | アルギネート免疫反応 / 免疫複合体分析 / 抗biofilm作用 / マクロライド活性 / 細菌バイオフィルム / 抗アルギネート抗体 / 免疫複合体 / 生体細胞作用 |
研究概要 |
今回の科学研究費による「慢性気道感染症における細菌バイオフィルムの意義」を検討した研究成果の概要は以下のごとくである。 1.病態の形成と進展 バイオフィルム形成菌は抗菌剤の透過性を抑制すること、また食細胞との干渉を回避することから、気道粘膜表面に長期に局在する。 その結果、病像の進展への関与は以下の2つの型が判明した。 1)侵襲型進展 気道に付着した細菌biofilmからときとしてfloating型菌(biofilmを形成しない菌)が遊離される。実験的には周辺の栄養環境が好転した場合にみられる。これらfloating型菌は周辺にアルギネート産生がみられないため、他の局所へ直接付着する。これら菌は粘膜刺激性が強く、付着局所で容易に感染巣を形成し、感染反復の原因となる。 2)免疫学的進展 菌体周辺に産生されたbiofilm形成の主成分であるアルギネートが抗原となり、宿主側に抗アルギネート抗体が産生される。これが気道末梢部で抗原抗体反応を呈し、リンパ球浸潤を誘導し、さらにこれら免疫反復はリンパ球を肉芽腫様に集積され、末梢気道の圧迫や狭少化を招来する。さらに抗原の長期定着とその過剰は免疫複合体を形成し、この免疫複合体が組織沈着すると補体を活性化し、好中球を誘導する。これら好中球からの遊離産物により肺の組織障害が示された。 2.マクロライド有用性の機序 侵襲型進展は感染増悪という型であり、その原因がbiofilmから遊離したfloating型菌であることから、適合抗菌剤により一時的な寛解は得ることができる。 免疫学的進展に対しては、14員環マクロライドが有用である。その機序はairway biofilm diseaseを対象とした場合 (1) アルギネート産生抑制とその結果にもとずくbiofilmの破壊作用 (2) アルギネートを介した抗原抗体反応の抑制とその結果にもとずく免疫複合体形成抑制が挙げられる。これら作用はマクロライドの構造活性からみると、マクロライド環の側鎖に結合したMycaminosaなどの糖の配置に起因するものとみられた。
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