配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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研究概要 |
【目的】アポリポ蛋白E(apoE)のε4遺伝子型はアルツハイマー病(AD)の危険因子である.本研究ではホルマリン固定・パラフィン切片よりDNAを抽出しapoE遺伝子型と病理像および発症年齢を対比した.またα1アンチキモトリプシン(ACT)シグナルペプチド遺伝子多型をも検討した.【対象と方法】早発型AD(EOAD)7例,遅発型AD(LOAD)12例,対照は痴呆がなく他の原因で死亡した36例.パラフィン切片よりDNAを抽出し,PCR産物を制限酵素にて切断してapoEとACTの遺伝子多型を決定した.【結果】1.パラフィン切片からのDNA抽出とapoE遺伝子型決定の成功率は36/55(65.5%)であった.2.apoE遺伝子頻度は、対照でE3/2 5(20.8%),E3/3 18(75.0%),E4/3 1(4.2%),ADでE3/3 8(66.7%),EF/3 4(33.3%)で,ADではE4/3の比率が高かった.発症年代別に見ると、ε4保有者の比率はEOADでは0/3,LOADでは4/9で,LOADでε4保有者の頻度が高かった.3.発症年齢とapoE遺伝子型については,ADのうちε4保有者の発症年齢は65.5±4.9歳,ε4非保有者の発症年齢は57.9±19.3歳と,ε4非保有者の発症年齢の方がむしろ低かったが,ADのうちEOADの3例を除くと,ε4非保有者の発症年齢は72.5±12.5歳となり,ε4保有者の発症年齢の方が低くなった.対照の中で85歳以上の超高齢者ではE4保有者は存在せず,E3/2の比率が20%と高かった.4.病理像との関係では,apoE遺伝子型が決定できた例から見るとε4保有者の比率はEOADでは0/3,LOADでは4/9であった.5.ACT遺伝子型分布についてはADと対照とに有意差はなかった【考察】1.パラフィン切片からの遺伝子解析が困難な原因としてホルマリン固定の時間やバッファーが関係すると考えられる.2.病理学的にも発症年齢からもEOADとLOADとは区別され,ε4とADとの関連はLOADに限定されることが明らかになった.3.ACTの遺伝子多型はε4の作用を修飾はしていなかった.
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