研究課題/領域番号 |
07457171
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀 正二 大阪大学, 医学部, 教授 (20124779)
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研究分担者 |
是恒 之宏 大阪大学, 医学部, 助手 (50243217)
多田 道彦 大阪大学, 医学部, 教授 (90093434)
井上 通敏 大阪大学, 医学部・附属病院, 教授 (30028401)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | ischemic preconditioning / α_1アドレナリン受容体 / 5'-nucleotidase / protein kinase C / アデノシン / 心筋壊死縮小 / PKCアイソザイム / 5′-nucleotidase / adenosine / protein kianse C |
研究概要 |
1.ischemic preconditioningにおける5'-nucleotidase活性化及びアデノシン産生増加と心筋壊死縮小作用との関連:protein kinase C活性化の意義 先行する短時間心筋虚血にて心筋は虚血耐性を獲得することが知られている(ischemic preconditioning IP)。IPの心保護作用はアデノシン及びprotein kinase Cと連関があるため、IPがprotein kinase C活性化を介してアデノシン産生酵素(ecto-5'-nucleotidase)をリン酸化・活性化するか否かを検討した。 麻酔開胸犬において冠動脈の短時間結紮(5分間・4回)しIP、その後心筋に不可逆性障害を生じる程度の虚血(90分間冠動脈結紮)を惹起した。再灌流中のアデノシン遊出量及び90分間虚血前・後の心筋ecto-5'-nucleotidase(アデノシン産生の律速酵素)はIP操作を行わなかった対照群に比し有意に増加した。ecto-5'-nucleotidase阻害剤(α・β methylencadenosine 5'-diphospate)投与下に同様の検討を行ったところ、IPによるアデノシン遊出増加作用・心筋壊死縮小効果は抑制された。このことから、IPによりecto-5'-nucleotidase活性化・アデノシン遊出増加が生じ、その結果心筋壊死縮小効果をもたらすことが明らかとなった。さらにα_1アドレナリン受容体刺激剤であるメトキサミンやprotein kinase C賦活剤であるPMAを投与するとIPと同様の現象が生じたことより、ischemic preconditioningの心筋保護作用はα_1アドレナリン受容体刺激・protein kinase C活性化を介するecto-5'-nucleotidase活性化が重要であることが示された。 2. α_1アドレナリン受容体刺激によるecto-5'-nucleotidase活性化の細胞メカニズム IPによるecto-5'-nucleotidase活性化の細胞内メカニズムを検討するために麻酔開胸犬において冠動脈の短時間結紮(5分間・4回)によりIPを作成し、心筋組織をホモジナイズ後ecto-5'-nucleotidaseを含む膜分画を精製した。まずprotein kinase C (PKC)アイソザイムに対するモノクローナル抗体によりimmunoblottingを行い、PKCアイソザイムを5'-nucleotidase活性の連関を検討した。その結果、α-PKCアイソザイムの膜分画蛋白量増加とともにecto-5'-nucleotidase活性上昇が認められた。次にecto-5'-nucleotidaseモノクローナル抗体で免疫沈降後、リン酸化抗体によりimmunoblotingを行い、ecto-5'-nucleotidaseリン酸化とecto-5'-nucleotidase活性増加について同様の検討を行った。その結果PKCの活性化を介してecto-5'-nucleotidaseのセリン-スレオニン残基がリン酸化を受けecto-5'-nucleotidaseが活性化されている可能性が示された。さらに、PKC賦活剤であるPMAで同様な検討を行ったところIPと同じ結果が得られた。またPKC阻害剤(GF109203X)を用いるとecto-5'-nucleotidaseのリン酸化は抑制された。以上の結果より、IPにより活性化・5'-nucleotidaseリン酸化を介した活性化が生じることが示された。今後は、protein kinase Cによる5'-nucleotidaseリン酸化部位を同定し、ecto-5'-nucleotidaseの活性中心部との連関を解析する予定である。
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