研究概要 |
擬常染色体領域の成長決定遺伝子 擬常染色体領域の部分欠失を有する16例の患者の遺伝子型-表現型解析に基づいて,擬常染色体領域の成長決定遺伝子をDXYS60-DXYS15の約350kb領域に限局し,ハイデルベルグ大学のグループと共同で,同領域を包含するコスミドコンティグを世界で初めて作製した。その後,コスミドコンティグに対するcDNA selectionおよびexon trappingにより新しい遺伝子を発見し,SHOXと命名した。このSHOXは,homeobox domainを有し,5個のエクソンから構成されていた。次に,原因不明の低身長患者91例において,SHOX遺伝子内変異の有無を検討し,家族性低身長の1家系において,低身長と連鎖するナンセンス変異を同定した。以上,われわれは,ハイデルベルグ大学のグループと共同で,SHOXという新しい遺伝子を発見し,これが目的とする成長決定遺伝子であるというデータを得た。 Y特異的領域の成長決定遺伝子 Y染色体の部分欠失を有する13例の患者の遺伝子型-表現型解析から,Y特異的領域の成長決定遺伝子DYS11-DYS246の約1Mbの領域に限局し,その後,東京大学のグループと共同で,同領域をほぼ包含する酵母人工染色体のコンティグを作製した。その後,オーストラリアのグループが新しく発見した有糸分裂に関与する遺伝子UTYが,この領域に存在することを明らかにした。また,この遺伝子が性ステロイド非依存性に最終身長を7-10cm増加させることを提唱し,同遺伝子の変異に合致する成長パターンを示す男性患者8例を見い出した。
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