研究分担者 |
井上 孝文 川崎医科大学, 医学部, 助手 (60203238)
和田 秀穂 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70191830)
神崎 暁郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40148698)
杉原 尚 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60140505)
山田 治 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (50104790)
岡本 直人 川崎医科大学, 医学部, 助手 (20204042)
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研究概要 |
平成7・8年度を通じて,次の諸項について,わが国における赤血球膜異常症の特質を明らかにし得た。 1.遺伝性球状赤血球症(HS)の病因・病態について: (1)疫学的特徴:わが国では病因としてband 3,band 4.2減少が主体で,ankyrin,spectrin異常は低頻度であった。 (2)病因遺伝子の検索:本症50症例についてband 3遺伝子解析を施工中で,現時点で4種の変異を見出している。また,正常50名,本症患者20症例について,ankyrin遺伝子を検索し,11種のpolymorphism,1種の病因遺伝子を同定した。 (3)本症症例で,第8染色体短腕欠失(8p^-)を見出した。 2.Anchor蛋白としてのband4.2の病因・病態について: (1)わが国で最も頻度の高いband4.2完全欠損症(Nippon type)(142GCT→ACT)に加えて,新たにband4.2 Komatsu(523GAT→TAT)とband4.2 Shiga(317CGC→TGC)を同定した。 (2)完全欠損症における著しい赤血球膜形態異常(膜間粒子および細胞骨格蛋白網)を電顕的に検索し,病因遺伝子との関連を明らかにした。 (3)物性学的にband4.2の生理的役割を検討した結果,band4.2はspectrinに直接結合し得ることを見出した。 (4)Band4.2 variantとしてband4.2 doublet(Nagano)を見出し,その病態・病因を明らかとした。 3.構造蛋白としてのband3の病因・病態について: (1)完全欠損症について,その細胞形態,膜機能異常などについて報告した。 (2)Band3 Fukuokaについてその膜特性を明らかとした。 (3)Band3とglycophorin Aの混合型減少症について,病態解析を行った結果,共通した膜糖蛋白異常の存在が判明した。 (4)Band3 Okinawaの遺伝子解析によって4種の変異を同定した。 4.赤血球膜の形態形成について: 膜蛋白の発現は,spectrin,glycophorin,band3に始まり,band4.1,ankyrinに続いて赤芽球分化の最終段階に至って生ずるband4.2の発現・組み込みによって完成することを明らかにした。 5.遺伝性楕円赤血球症について: (1)β-Spectrin Nagoyaの病因遺伝子を同定した。 (2)Band4.1完全欠損症(4.1(-)Madrid)において著しい細胞骨格蛋白網の異常が生じていることを電顕的に証明した。
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