研究概要 |
(目的)モルモット心をラットに移植するdiscordant異種移植モデルにおいて、CVFにより完全に補体抑制を行って超急性拒絶反応を回避できても、1-2日後にはDXRが生じる。このDXRにはマクロファージ、NK細胞などを中心とした細胞浸潤が生じる。DXRにおけるNK細胞の意義を、NK細胞活性不全ラット(DAラットの突然変異体のBeigeラット)を用いて検討した。以後DAラットはDA、BeigeラットはBGと略す。 (方法)(1)Yac-1cellをtarget、DAとBGの脾細胞をeffectorとして細胞傷害試験(^<51>Cr release test)を行い、NK細胞活性を比較した。 (2)DAとBGの脾細胞のT,B,NK細胞関連表面抗原をFACSにて解析した。 (3)DAとBGの脾細胞(刺激、非刺激)の細胞傷害因子であるPerforin,Granzyme A,BのmRNA発現をRT-PCRにて検討した。 (4)モルモット心を、DA(n=9)とBG(n=9)に異所性に移植し、補体抑制剤としてCVF(術前日、当日、30U/kg,iv)を用い、生着時間を検討した。 (結果)(1)BGでは、DAに比較してNK細胞活性が低下していた。(DA:62.8%,BG:18.2%) (2)BGでは、DAに比較してNK細胞数に差はなかったが、CD8陽性、およびIL-2R陽性細胞数がBGでは減少していた。 (3)BGでは、DAに比較して、刺激脾細胞のPerforin,Granzyme A,BのmRNA発現が抑制されていた。 (4)生着時間はDAの20±2.1hrに対し、BGでは28±1.5hrと、BGにおいて有意(p=0.0495)な生着延長が得られた。 (結論)DXRの発症には、NK細胞とCD8+細胞の関与が考えられる。従ってこれらの機能を抑制することにより生着延長が得られると考えられる。
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