研究分担者 |
真砂 敦夫 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70209419)
間瀬 光人 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (60238920)
松本 隆 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50199676)
金井 秀樹 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (90185893)
神谷 健 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (70137115)
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研究概要 |
申請者らは,頭蓋内圧コア真という病態を分子生物学的アプローチで解析すべく,ストレス遺伝子応答,グリア機能の変化および浸透圧調節遺伝子の検索等の研究目標を掲げた.また臨床に沿った病態解析モデルの確立を試みた.研究期間内に得られた新たな知見は,1,実験水頭症ラットにおけるグルタミン酸トランスポーター(GLAST)の役割:GLASTは浸透圧調節トランスポーターであるとともに,興奮性神経毒であるグルタミン酸の回収を行う膜蛋白である.水頭症急性期の急激な頭蓋内圧亢進・脳室拡大とともに,脳室周囲の反応性グリアにGLAST遺伝子の発現亢進を認めた.脳室拡大や髄液浮腫に対し脆弱な脳室周囲組織で,過剰放出されたグルタミン酸の処理や局所浸透圧の調節の目的でGLASTが誘導されたものと推察した.水頭症とグルタミン酸の動態を関連づけた初の報告である(Masago et al.1996).2,頭蓋内圧亢進コントロールモデルの作成とストレス応答:ラット大槽に人工髄液を注入し,随意に頭蓋内圧を調節できるモデルを開発した.頭蓋内圧亢進とともに大脳皮質,海馬神経細胞や視床下部の諸核においてc-fos等のimmediate early genesの発現を認めた.頭蓋内圧変動が高次脳機能や生理機能に及ぼす影響の一端を明らかにした(Matsumoto et al.1995).3,くも膜下出血(SAH)モデルの確立:SAHは急性頭蓋内圧亢進をきたす代表疾患であるが,小動物で再現することは困難であった.申請者らはラット頭蓋内血管をナイロン糸で貫くことで確実にSAHを再現することに成功した.SAH後は大脳皮質,海馬辺縁系,視床等広範な領域にhsp70,c-fos遺伝子が発現することを明らかにした.さらに海馬での遅発性神経細胞死を示唆する所見も得られた.SAH基礎実験に関しては先駆的な知見である.
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