研究概要 |
屠殺直後の成牛尾椎より椎間板を摘出し、3-5本の径0.3mmのナイロン糸を前後方向に刺入した。特注した圧迫試験器にこの試料を装着し、MRI装置(Biospec 47/40,Bruker社)のマグネット内で脊柱長軸方向に30kgの定圧を240分間加えた。圧迫前および圧迫中の正中冠状断のgradient ecoh画像およびT_1計算画像を経時的に撮像した。得られたgradient ecoh画像上では、線維輪の層板構造および椎間板に刺入したナイロン糸の断面像が描出される。各々の椎間板におけるナイロン糸の位置を圧迫前の椎間板の大きさで標準化し、一つの座標上に表示した。以上を経時的に追跡することにより椎間板内のひずみの部位別差異を明らかにした。さらに椎間板内のひずみから体積変化の部位別差異を検討した。T_1計算画像からは椎間板内の各部位の水分含有率を推定した。 圧迫による椎間板内のひずみは部位により異なり、髄核部の横方向のひずみは椎間板の外縁部の横方向のひずみより大きいことを明らかにした。ひずみの部位による相違に伴い、圧迫開始後早期には髄核部の体積が増加した。同時に撮像したT1計算画像上で追跡した髄核部の水分含有率は、髄核部の体積変化と同様に圧迫開始後早期に増加した。これは、髄核部の高さの減少の影響より横方向の広がりの影響が大きくなる結果、髄核部の体積が増加したと考えられる。さらに圧迫を継続すると、高さの減少の影響が大きくなり髄核部の体積は減少しはじめ、これと同様に髄核部の水分含有率も低下した。
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