研究概要 |
OK-432のサイトカインを介した抗腫瘍作用では,OK-432によるPBMCのG-CSF産生抑制が一役を担っている可能性が示唆された.PBMCの培養上清中にはIL-6,EGF, basic-FGF, IL-2等のサイトカイン産生を認めなかった.KK-47細胞はbasic-FGFとIL-6を産生し,T24細胞はIL-6を産生した.rG-CSFとKK-47細胞の96時間接触では,rG-CSF10ng/mlの濃度までbasic-FGFの産生がrG-CSF濃度依存性に増加し,rG-CSFと共にPBMCを加えた培養では(PBMCと培養細胞は非接触),さらに増強された.basic-FGFを加えたKK47細胞の培養では,細胞数はbasic-FGF濃度依存性に増加した.KK-47細胞のIL-6産生はrG-CSFを加えても増加せず,PBMCとrG-CSFと共に培養すると有意に(p<0.05)増加したが,rG-CSF濃度依存性ではない.rG-CSF加培養液でKK-47細胞を培養すると,rG-CSF濃度依存性にS期細胞が増加したが,T24細胞では増加しなかった.KK-47細胞はIL-6receptor, FGF receptor 1, rG-CSF receptorのmRNAを発現したが,FGF receptor 2は発現しなかった.T24細胞はIL-6 receptorのmRNAを発現したが,rG-CSF receptorのmRNAを発現しなかった.PBMCはrG-CSFの他にFGF receptor 1, FGF receptor 2のmRNAを発現した.IL-6およびbasic-FGFはKK-47細胞のautocrine factorである可能性が示唆され,KK-47細胞のrG-CSF存在下での増殖能にはbasic-FGFの関与が示唆された.
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