配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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研究概要 |
ホルモン感受性腫瘍細胞ではそのホルモンによって増殖が抑制される例が少なくない。ホルモンなどの生理物質はより自然な細胞死であるアポトーシスを惹起し,増殖抑制作用を発揮すると考えられている。生殖器腫瘍においても,GnRHアナログがin vivoおよびin vitroでアポトーシスを惹起し,抗腫瘍効果を発揮する。ところで生体内でアポトーシスが誘発される際,Fas・Fasリガンド系が関与していることが広く受け入れられている。Fasリガンドの発現には,tyrosine kinase/phosphataseが関わっており,GnRH受容体とFasとによるアポトーシスの受容応答機構に共通性があることが容易に推測できる。本研究では,GnRH受容体の抗腫瘍シグナルの解明を試みた結果,以下の知見を明らかにした。 1)手術摘出の子宮内膜癌,上皮性卵巣癌,子宮筋腫および子宮筋肉腫の90%以上にGnRH受容体が存在する。一方,子宮頚癌ではGnRH受容体は認められない。 2)GnRH受容体陽性細胞からの形質膜をGnRHとインキュベートすると,Gタンパク依存性にphosphotyrosine phosphataseが活性化され,分子量35Kの膜タンパクが特異的に脱リン酸化される。 3)Gタンパクを同定すると,腫瘍GnRH受容体はGiとカップルしており,下垂体のそれとは異なる。 4)GnRH受容体陽性の細胞にはFasリガンドの受容体であるFasも存在しているが,Fasリガンドは検出されない。 5)腫瘍GnRH受容体をGnRHで48時間以上占有すると,Fasリガンドが発現する。 つまり,腫瘍GnRH受容体が活性化されると,Gi-phosphotyrosine phosphataseを介してFasリガンドが出現する。このFasリガンドは腫瘍内に広く分布しているFasと結合し,増殖を抑制するものと思われる。
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