研究分担者 |
川瀬 哲明 東北大学, 医学部・付属病院, 講師 (50169728)
高坂 知節 東北大学, 医学部, 教授 (80004646)
高根 昭一 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (90236240)
小澤 賢司 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (30204192)
鈴木 陽一 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (20143034)
池田 勝久 東北大学, 医学部, 助教授 (70159614)
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研究概要 |
ディジタル補聴器に応用可能な環境騒音抑圧ディジタル信号処理手法について,1つのマイクロホン入力を用いた方法と,2つのマイクロホンを用いる方法について検討した. 1つのマイクロホンを用いる環境騒音抑圧のためのディジタル信号処理手法として,環境騒音のスペクトルをマイクロホン入力のスペクトルから引き去る手法が知られている.従来は,その際のスペクトルの計算に,フーリエ変換を用いていたが,性能は不十分であった.そこで,ヒトの聴覚系における信号処理をより良く反映していると考えられるウェーブレット変換を用いることを着想した.さまざまな基本ウェーブレットを用いて信号処理を行い,その処理結果について実際に聴取実験を行った結果,非直交系の基底を用いた方がより効果的に音声の明瞭度が改善されることを明らかにした. 次に,2つのマイクロホンを用いる環境騒音抑圧手法について検討した.マイクロホンが複数の場合には,ビームフォーミング技術による騒音抑圧手法が最も有望である.しかし従来型のビームフォーミング技術は、残響のほとんどない音場では効果的であるが,一般の聴取環境のように残響が無視できない場合には,ほとんど騒音抑圧効果を期待することができない.我々は,このような特性の劣化が直接音と反射音の位相関係によって生ずることに着目し,位相特性を用いず,パワースペクトルだけについて処理を行う手法を開発した.このディジタル信号処理手法によって実際に音声の処理を行った結果,残響の存在する音場においては,従来法を越える優れた環境騒音抑圧性能を示すことが明らかになった.
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