研究概要 |
当初の研究計画・方法に基づいて項目別に記載する。 1.ヒトパピローマウイルスについては口腔粘膜に生じた扁平上皮癌、白板症、上皮増殖などの病変から生材料を生検や手術時に採取し、DNAを抽出して、主にSouthern blottingによって解析を行った。プローブは従来のHPV13,16,18,32型などに加えて、国立予防衛生研究所松倉俊彦博士の協力を得て、氏が開発したHPV58型を用いて多く症例で検索した。これらの結果は本年度歯科基礎医学会で発表したが、現在症例は100例を越える多数例について解析を行っている。 2.TGF-βに関する研究は主として、TGF-βのレセプターの構造解析について行った。TGF-βレセプターはセリン・スレオニン型であるが、キナーゼドメインと膜貫通部との間に特異的構造があることが明らかになり、この部が細胞機能発現の為の二次メッセージを二元的にコントロールしていることが明らかになった。これらの結果は本年度の口腔病学会で発表しており、またJournal of Biochemistryにも原著報告した。 3.コラーゲン、ラミニンなどの細胞外基質の作用については、唾液腺多形性腺腫を研究対象として解析した。コラーゲンについてタイプ1,2,4,6,9型に対する抗体を用いて検索し、また1,2,9型についてはin situ hybridization法を用いて行った。その結果は本年度の歯科基礎学会で発表したが、唾液腺多形性腺腫にについての結果は口腔病理学会雑誌に原著報告した。なお本研究については本学難治疾患研究所の堀 久枝博士の協力を得た。
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