研究課題/領域番号 |
07457433
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
柳澤 孝彰 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10096513)
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研究分担者 |
見明 康雄 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (00157421)
東田 久子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80085828)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1995年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | フッ素(フッ化ナトリウム) / フッ素症歯 / 琺瑯質(エナメル質) / 琺瑯(エナメル)芽細胞 / 光学顕微鏡 / 偏光顕微鏡 / 顕微X線法 / 高分解能透過型電子顕微鏡 / 高分解能電子顕微鏡 |
研究概要 |
本研究に用いた材料は、200ppmのフッ素を含む飲料水を10週間自由に摂取させて形成したラットフッ素症歯である。まずラットに全身潅流固定を施して上下顎の切歯を採取し、非脱灰もしくは脱灰試料として、前者は光学顕微鏡、偏光顕微鏡、顕微X線観察の後、高分解能透過型電子顕微鏡観察に、また後者は光学顕微鏡および通常の透過型電子顕微鏡観察に供した。なお、観察部位は基質形成期から切端に至るまでの琺瑯質と琺瑯芽細胞であるが、詳細は研究成果報告書に記載することとし、ここでは琺瑯質の所見につきその概要のみを述べる。 フッ素症歯琺瑯質の表層は透明かつ高度に石灰化した層として、その直下は不透明かつ低石灰化層として識別された。高石灰化層には、c軸断で扁平六角形を示す過成長した大型の結晶間に正六角形を示す小型の結晶が少数混在し、全体的にはそれらが極めて密に配列していた。それぞれの結晶の格子間隔は8.17Åと8.12Åで、前者がhydroxyapatite、後者がfluorapatiteと同定され、これまで推測の域を出なかったfluorapatiteの出現時期が萌出以前であることを本実験が確定した。低石灰化層の結晶は、対照よりやや小さい扁平六角形の断面を示すものが疎に分布し、時に微小な未石灰化領域を含んでいた。これらのことは、表層に結晶間隙がほとんど存在しないため、直下への無機イオンの供給が抑制された状態で萌出してくることを物語っていた。 この他、格子間隔が8.13Å以上で8.17Å未満の結晶や、結晶中央にoctacalium phosphateの存在を示唆するものも観察された。特に前者の結晶はfluoridated-hydroxyapatiteであると想像して、これを検討し、in vitro実験ではあるが、その可能性が大であることを示した。また、後者の結晶については、健常な琺瑯質に最初に出現する結晶がこれであることをつきとめ、フッ素症歯琺瑯質を結晶形態学的立場からに明らかにした。
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