研究概要 |
昨年度までの研究で,我々はStreptococcus mitis 108株が産生するスーパー抗原F-2は,内毒素およびヒト型インターフェロン(IFN)-γで刺激された歯肉線維芽細胞をアクセサリー細胞として,協力にT細胞増殖とインターロイキン(IL)-2およびIFN-γ産生を誘導すること,さらにF-2活性化T細胞が歯肉線維芽細胞に対して強い傷害性を示すことを明らかにした。そしてこの傷害活性はLFA-1とICAM-1の相互作用によって制御されていることを明らかにした。 そこで本研究ではまず、F-2が活性化するT細胞の表現型を同定した。ついで、これらのT細胞活性化に係わる細胞接着分子についても検討を加えた。 その結果,S.mitisスーパー抗原F-2は、SEB、PHA、およびIL-2同様CD4+T細胞とともにCD8+T細胞も誘導した。また、F-2で刺激を受けたT細胞では、Vβ2,5.1をもつT細胞が選択的に増加していた。F-2活性化T細胞においては、HLA-DRおよびCD2分子の増加がみられたが、CD11a分子の発現量は変化しなかった。さらに、T細胞の増殖抑制試験をおこなった結果、抗HLA-DRおよびCD2抗体はT細胞の増殖を強く抑制したが、抗CD11a抗体は弱い抑制効果しか示さなかった。この結果は、F-2活性化T細胞が示す細胞傷害活性の抑制実験結果と全く対照的であり、F-2によるT細胞増殖と細胞傷害とが違ったメカニズムで誘導される可能性を示している。
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