研究概要 |
本研究の目的は歯硬組織へのビニルモノマーのグラフト重合によって歯科修復物の構造接着を実現する接着性組成物の創製を目指している。 1.メチルメタクリレート(MMA)の重合に及ぼすグリシンとその誘導体-各種の第二鉄化合物の二元開始剤の影響を調べた.N-phenylglycine(NPG)-各種の第二鉄化合物にMMAの重合が認められた。Log(重合速度)-1/Tのアレニウスプロットから、重合反応の活性化エネルギーはNPG-Ferric Phosphate, NPG-Ammonium Ferric Sulphateでは、約20(Kcal)/(mol)であり,NPG-Ferric Chlorideでは8(Kcal)/(mol)であった(第73回国際歯科研究学会,1995). 2.NPG-各種の第二鉄化合物によるヒト象牙質デスクの共存下でMMAの重合を行った。NPG-Ferric citrate, NPG-Ferricphosphate, NPG-Ammonium Ferric Sulphateを開始剤とするMMAの重合では象牙質表面にカルボニル基の存在が認められなかった(第26回日本歯科理工学会,1995). 3.NPG-各種の第二鉄化合物によるコラーゲンへのMMAのグラフト重合を37℃で行った。NPG-Ferric Citrate, NPG-Ferric Phosphate, NPG-Ammonium Ferric Sulphate, Ferric Bromide, Ferric Chlorideを用いて37℃、5時間のMMAグラフト重合の重合率、グラフト率、グラフト効率はそれぞれ10〜80%、20〜30%、2〜4%であった(第75回国際歯科研究学会,1997).
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