研究分担者 |
家取 達郎 (毛取 達郎) 東北大学, 歯学部, 助手 (50234646)
笠原 紳 東北大学, 歯学部・付属病院, 講師 (70169407)
依田 正信 東北大学, 歯学部, 助教授 (70005073)
中山 孝文 (財)電気磁気材料研究所, 研究部, 主任研究員 (40164363)
奥野 攻 東北大学, 歯学部, 教授 (50014080)
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研究概要 |
本研究は,白金鉄系磁石合金を用いて外冠を,磁性ステンレス鋼を用いて内冠を,それぞれ磁化鋳造にて作製し,両者間に作用する吸引力によって補綴物を維持する新しい可徹式クラウン・ブリッジの開発を目的として,特に外冠の作製に用いる白金鉄系磁石合金が歯科鋳造用合金として応用可能かどうかについて基本的な研究を行った.具体的には, 1.白金鉄系磁石合金鋳造体に及ぼす埋没材の種類と鋳型温度の影響 2.白金鉄系磁石合金鋳造体に及ぼすSiおよびNbの添加効果 3.白金鉄系磁石合金鋳造体の吸引力に及ぼす着磁方法の影響の3項目について実験を行うことにより,この合金の歯科利用への可能性を検討した. これらの研究の総合的な結果から,以下のことがわかった. (1)白金鉄系磁石合金鋳造体の表面の粗さ,磁気特性を調べることにより,この合金の歯科鋳造を可能にする市販の埋没材とその適性鋳型温度が見出された. (2)この合金にSiを約0.1mole%以上添加すると,表面粗さ,および鋳造欠陥ともに減少し,Siを約0.2mole%以上,Nb量を約0.5mole%以下とすると磁気特性が低下することから,本研究の目的に適合する最適合金組成は,現在のところFeー39.5Pt-0.65Nb-0.1Si(mole%)であると考えられる. (3)円板状試料の吸引力は,面内4極着磁した場合に最も高い値を示し,そのときの最大値は1000gfを越えるものであり,平均値では734gfであった.また,最適合金組成でのクラウン状試料の吸引力は,歯冠軸方向に着磁した場合に最も高い値を示し,そのときの最大値は,720gfであり,平均値では536gfであった.これらの値は,補綴学的に十分臨床応用できるものであると考えられ,その維持を磁力に求める可徹式クラウン・ブリッジの実用化の可能性が示唆された.
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