研究概要 |
1.計測方法:被験者の顔面上で上下口唇、左右モダイオラス、オトガイおよび切歯点として下顎前歯部よりワイヤーを口腔外に延長し,光反射標点を付着し、発音、咀嚼運動時の顔面を6台のカメラ(Oxford Metrics Ltd・493型)で6方向からオートトラッキング機能により高速記録した。即時にVicon System (Oxford Metrics Ltd・370型)により3次元構築し、各標点の3次元座標をコンピュータに転送し、運動解析用ソフト(MOVIAS-3D)により経路を解析して3次元的な移動範囲(Cubic)、移動距離累計、迂回度、方向変更角度累計などのパラメーターについて集計した。 発音運動の解析では、同時録音された音声をDSP Sona-Graph (5500型,KAY社製)に導入し,声紋像と時間波形を対照し、各子音,母音の発音時点のシーンナンバーを求め,解析対象区域を規定した。 咀嚼運動では、発色チューインガムを自由に咀嚼させ、50ストローク後のチューインガムをプレスし、白色板上に置いて色彩色差計(CR-300, MinoltaI社製)で測色する。50ストローク毎に色を測定しながら計300ストロークの運動経路をVicon Systemで記録した。 2.被験者:1)健常有歯顎者10名について標準値を求めた。2)口蓋裂、顎変形症例など咬合改善処理を要する者について術前、術後を健常有歯顎者の標準値と比較し、機能改善効果の客観的評価を試みた。 3.結果と考察:計測対象を6方向から記録したため、モダイオラスなど矢状面以外の測定点の立体的な運動を解析できた。これによって、特に咀嚼運動では、作業側と非作業側の動態の違いを観察でき、本研究方法が機能評価に有効であることが示唆された。
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