研究課題/領域番号 |
07457526
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 能雅 東京大学, 薬学部, 教授 (30150014)
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研究分担者 |
野口 修治 東京大学, 薬学部, 助手 (60237823)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1995年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 抗体 / Fabフラグメント / Fv フラグメント / ハプテン複合体 / 抗原認識 / 構造変化 / 三次元構造 / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
抗体のFvフラグメントは抗原の認識を直接担い、可変領域の軽鎖のV_Lドメインと重鎖のV_Hドメインから成る。マウス抗ダンシル抗体のFvフラグメントにダンシルリジン(ε-dansyl-L-lysine)の抗原ハプテンを結合させた複合体の立体構造を、X線結晶構造解析によって解析し、その抗原認識の機構と抗原結合に伴う構造変化の詳細を明らかにすることを本研究の目的とした。 X線結晶構造解析では、Fvのみのネ-ティブ結晶として2.8Mの硫酸アンモニウムを母液とする高濃度型の結晶、2.8Mの硫酸アンモニウム母液の低濃度型の結晶、および、3.0Mのギ酸ナトリウムからの結晶について構造を精密化した。複合体としてはPEGからの結晶と硫酸アンモニウムからの結晶の構造を精密化した。これら解析の分解能は1.6Aから1.9Aであり、抗体の構造研究では最高の分解能を達成した。 複合体では、抗原結合を担う相補性決定部位(CDR)の構造がネ-ティブ分子に比して大きく変化し、ドメインの配置も約6度と顕著に変化している。抗原ハプテンの認識の機構は、今回解析した抗ニトロフェノール抗体とは異なり、CDR部位の柔軟性と構造可変性によっている。とくに、CDRでの構造変化はネ-ティブ分子でも見出され、Fv分子が存在する溶液環境のイオン強度の差異でも発現するCDR部位の動的な性質を反映している。このような5種の結晶構造での多型性は、今回報告したRNaseU_2で見出した構造多型性とも異なる様式であり、抗体構造に関する動的構造の全く新規な知見を得た。 本研究の成果は、動的蛋白質構造の国際シンポジウム、蛋白質構造討論会、日本生化学会および日本薬学会の年会で発表した。詳細な知見を蛋白質データバンク(PDB)に登録公表し、直ちに論文発表とすることにしている。
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