研究分担者 |
沼尻 幸彦 城西大学, 薬学部, 助手 (40245147)
木村 昌行 埼玉医科大学, 総合医療センター, 講師
杉林 堅次 城西大学, 薬学部, 助教授 (00105834)
KIMURA Masayuki.Ph.D. Saitama Medical Center, Saitama Medical School, Department of Pharmacy Services,
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研究概要 |
ペプチド様医薬品の皮膚透過の改善を最終目的として無針注射器であるジェットインジェクター(JI)とイオントフォレ-シス(IP)の併用効果を調べた.まずJIを用いて雄性ヘアレスラット腹部摘出皮膚の角質層に小孔形成し,この皮膚を摘出してIP用2チャンバー拡散セルに挟み,薬物透過性を無処理時,JI単独,IP単独及びJI-IP併用系で比較しその有用性を検討した. 本年度は水溶性高分子であるアンジオテンシンII(ANGII)を用いて定電圧・定電流IP-JI併用系における皮膚透過性を検討した.定電圧IP-JI併用系では定電圧IP単独系と比較し,JI処理により皮膚の透過抵抗が低下し電流値が増大することでANGIIの透過性が増大した.しかしながら,皮膚の透過抵抗には個体差があり電位勾配を一定にしても皮膚を介して流れる電流値が一定とならないことが考えられ,定電圧IP単独系および定電圧IP-JI併用系では、皮膚を介して流れる電流を変化させてANGIIの皮膚透過を制御することは困難であると思われた.一方,定電流IPにJIを併用してもANGIIの透過速度はほとんど変化しなかった.これはイオンの流れに比例する皮膚を介して流れる電流値を一定にしているためと考えることができる。しかしながら,JI適用により皮膚の透過抵抗をかなり低下させることができ,ANGIIのような高分子量であるため皮膚の透過抵抗の高い薬物をIPで皮膚から吸収させる場合,IP単独よりもJIを併用した方が有効であると思われた.以上より,定電流IPは正確な量の薬物を投与するために有用であり,JI適用は皮膚の透過抵抗を低下させることで,これまで困難であると考えられていた高分子量薬物のIP皮膚透過促進を可能にするものと思われた.
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