配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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研究概要 |
本研究はトレーニングを実施したラットの心筋や骨格筋における毛細血管の形態的な適応について,その数と内腔面積の側面から明らかにしようとするものである.毛細血管の形態計測は〓流固定法を用い,拡張した状態にある毛細血管を分析できるようにした.得られた結果の概要を以下に示す. 心筋において,低強度あるいは高強度の持久性トレーニングは毛細血管数の増加(新生)を引き起こさないが,高強度のトレーニングによって毛細血管の内腔面積が拡大する形態変化を観察した.高強度の持久性トレーニングは心肥大を生じるが,その際の毛細血管表面積は毛細血管内腔の拡大によって,肥大を生じていない心筋と同程度までその表面積が代償されることが示された. 骨格筋においては,心筋とは対照的に低強度,高強度の持久性トレーニングは毛細血管数の増加をもたらした.このとき低強度トレーニングでは内腔の直径が2〜4μmの毛細血管がトレーニング前よりも有意に増加したのに対して,高強度のトレーニングでは直径が8〜10μmの毛細血管が増加した.この結果は持久性トレーニングによって毛細血管数や内腔の大きさが変化すること,また,その形態適応はトレーニング強度と非常に関連したものであることを示すものであった. 心筋や骨格筋において観察されたようなトレーニングによって生じる毛細血管内腔の拡大や血管新生は,いずれにしても毛細血管床を増加させ,筋組織において酸素の運搬や拡散などの抹消循環能力を高めると考えられる.これまで,毛細血管の内腔の大きさについては調べられていなかったが,本研究の結果は毛細血管の形態的側面において,その数と内腔の大きさを考慮に入れることのことの重要性を示すものであった.
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