配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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研究概要 |
本年度は,前年度までに設計および試作した並列項書換え抽象機械Parallel TRAMを拡張し,本学の現有設備であるクレイ・リサーチ社製の超並列計算機T3E(PE数:128)上にメッセージパッシングライブラリMPIを用いて試作し,その評価を行なった.この拡張したParallel TRAMをPTRAM/MPIと呼ぶ,並列性を有するベンチマークを用いて評価した結果,TRAMに比べ,50倍程度の速度向上を確認でき,本研究のアプローチの有効性を示すことができた. 詳細は以下のとおりである.TRAMは高速な逐次書換えの実現を目的に設計した抽象機械である.書換え戦略に,演算子ごとに戦略を指定でき、遅延評価ならびに評価順序を自由に制御できる,代数仕様言語OBJ(OBJ3やCafeOBJ等)が用いている評価戦略(E戦略)を採用した.また,項の書換え順序を制御するためのデータ構造「戦略リスト」を用いてE戦略を効率よく実現できた.Parallel TRAMは,共有メモリ型マルチプロセッサ上で効率よく書換えできることを目的にTRAMを改良した抽象機械である.そのため,並列計算モデルとしては共有メモリモデルを用いた.また,並列書換えを制御できるようにE戦略を拡張した並列E戦略を導入した.条件付書換え規則とともに用いることで,並列性を適切に制御できる.Parallel TRAMを基に,超並列計算機あるいはワークステーションクラスタ上で高速に書換えできることを目的に設計したのがPTRAM/MPIである.並列計算モデルとしては,メッセージパッシングモデルを用い,並列計算の分野で広く利用されているメメッセージパッシングライブラリMPIを用いて実装することを仮定している.MPIを用いて実装することで,ソースコードをほとんど変更することなく,MPIが利用できれば各種の超並列計算機あるいはワークステーションクラスタ上に容易に移植することが可能である.
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