研究概要 |
ここでは,危機管理の成功を左右する災害情報システムのあり方をつぎのように示した.すなわち,(1)災害情報ネットワーク(中枢及び末梢神経系):都市の骨格を形成するライフラインやそのほかの構造物で構成されるインフラストラクチャーなどの破損情報は中央集中系で,被災者や知識・分化などの非構造物で構成されるインフラストラクチャーの被災情報は末端分散系で収集し,対応する.(2)特定災害情報の確実な授受系(内分泌系):生体では,ホルモンという暗号の形で特定の相手に確実に伝える.都市防御では,特定の災害情報を相手を特定して情報を提供する.たとえば,ライフライン被災情報や復旧情報,生活関連情報などは不特定多数相手に流すのではなく,それを必要とする相手に確実に伝達する努力が必要である.(3)防災のソフトウエア系(免疫系):都市には情報の種類として,数値情報,画像情報,文字情報などがあり,電気信号によって伝達している.それは,1)ライン部門とスタッフ部門で構成された防災組織における情報の共有化,2)情報の安全管理,3)膨大な情報の多様性と選別能力,4)被害のリアルタイム内部イメージ化,5)豊富な支援・関連情報の提供で構成される.(4)エネルギー・物資・廃棄物輸送系(血管系):前2者が動脈に対応し,後者が静脈に対応する.生体では入れ子構造(自己相似)になっており,自律神経系でコントロールされている.都市では,全体の幹線道路・鉄道・舟運系と末端の支線道路・鉄道・舟運系が同じ構造のネットワークで構成され,自動制御されている必要がある.さらに,次世代危機管理システムの方向を示した.
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