研究概要 |
1.1991年6月3日の火砕流災害についての詳細な調査を行った.普賢岳の噴火停止後もなお北上木場地域内など立ち入り困難な場所もあり,予定した調査を完全に行うことが出来なかったが,火砕流本体部,火砕サージ域,焼損域の3地域に分割して,詳細な現地調査を行った. 2.雲仙地域の防災担当者の聞き取り調査を行い,特に死傷者の救援活動に関して調査した.長崎大学付属病院をはじめ関係した医療機関において,被災者の状況について調査した.Baxter(1989)の資料と直接比較を行った. 3.当時サージの地域内に居て,火傷を負いながら生存している人々の聞き取り調査を行った.とくに物理的な破壊力,時間経過に重点を置いて問接し詳細な記録を作った.特に貴重な資料としては,破壊域北側の山道にいてサージに遭遇したタクシー運転手の証言,サージ域内の家屋内に居て被災した,夫婦及び農業従事者の証言,乗用車を運転してサージからかろうじて逃れることの出来た消防団員の証言,破壊域南側にいた養鶏業者と小学校教諭の証言などを採集することが出来た. 4.証言およびいくつかの物的証拠の基ずいて,サージ,熱風の物理的破壊力および人体に及ぼす災害について評価を行った. 5.以上の結果を基礎にして,火砕流,火砕サージの物理的破壊力及び人体に対する災害について総括した.また,実効ある防災対策について詳細に考察した.
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