研究分担者 |
鎌田 進 高エネルギー物理学研究所, 放射光施設, 教授 (70100815)
川久保 忠通 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 教授 (70044774)
中西 弘 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 助教授 (00044769)
中島 一久 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 助教授 (80164177)
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研究概要 |
われわれは数年来プラズマを用いた粒子加速の実験を行ってきた.これらの一連の実験のなかで,プラズマ波がつくる航跡場のために,粒子ビームが軌道に垂直な方向に変位することが観測された.幾何的配置を換えれば,ビームを周期的・連続的に振動させることが可能であり,そうすればアンジュレーターの原理で放射光が発生する.この方法をプラズマアンジュレータという.この研究ではこれを実験で確かめることを最終的な目的とした. ただし一挙にこの目標に到達することはできない.そこでつぎのような段階的な目標を設定した. 1 プラズマアンジュレータの理論的研究 2 気体中のレーザーの伝搬の研究 3 フェムト秒レーザービームとピコ秒加速器電子ビームの同期技術の確立 4 レーザー航跡場による加速器電子ビームの加速 5 レーザーと加速器電子ビームによる(プラズマがない状態での)x線の発生とx線検出技術の確立 6 プラズマアンジュレータによるx線の発生 今年度は目標5まで達成した段階で時間切れとなった.しかし1-5のどれをとっても世界に先駆けた成果であると自負している. これらの実験は東京大学工学部原子力工学実験施設と,日本原子力研究所関西研究所との共同研究として行われた.実験に用いた電子ビームは東京大学工学部原子力工学実験施設の線形加速器のものである.またこれらの実験にはT^3(テーブルトップ・テラワット)チタンサファイアレーザーが用いられた. 気体中のレーザーの伝搬の研究では3つの発見があった.光導波路の形成,レーザーの異常な青方遷移,およびジェット現象である.加速実験は,この実験は初めてT^3レーザーを用いたこと,テストビーム発生に本格的な線形加速器を用いたことの2点で革新的である.ここでは最大100MeVを越えるエネルギー利得が観測されたが,これは世界新記録である。
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