配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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研究概要 |
汚濁内湾・内海の直接浄化手法として人工海浜による水質改善が注目されている。本研究では,人工海浜による汚濁海水の水質浄化特性およびそのメカニズムを明らかにするために,室内実験と実海浜に設置したパイロットスケールの試験装置を用いて検討した。以下に研究成果を示す。 汚濁内湾の実態調査から,内湾の汚濁が進行するのは主に夏季であり,活発な内部生産による海水中のクロロフィル-aの増加と,高濃度のSSが持続していた。そのため夏季の水質の悪化を押さえることが重要であった。 そこでパイロットスケールの人工海浜(礫浜)を用いて水質浄化を試みたところ,潮位変動による礫浜内の海水の往復に伴い,懸濁物質・有機物(植物プランクトン由来)は効果的に除去された。礫浜への海水の流入・流出過程では水質浄化に及ぼす作用が大きく異なり,海水の流入過程では懸濁物質の捕捉,硝化,リンの吸着が起こり,流出過程では付着生物膜の剥離,脱窒,リンの脱離が起こっていた。 懸濁物質の捕捉は主に礫浜の表層において行われ,捕捉されたSSの一部は海水の逆流や波浪によって剥離し,海域へ再流出した。一方蓄積された有機物は分解・無機化された。DOの低下は礫浜下層において著しく,有機物の分解や硝化反応に伴う礫浜内部のDO消費量は泥の蓄積量が増加するにつれ大きくなった。また海水中のアンモニア性窒素は礫浜内において酸化され硝酸性窒素となり,低DO濃度部における脱窒反応によって窒素ガスとして系外排除された。脱窒を効果的に行わせるためには,礫浜中における海水の滞留時間を十分にとることが必要であった。リンについては礫浜による吸着効果により除外されていた。
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