研究概要 |
本研究は,VMAlプロトザイムにおける自触的スプライシングの分子機構を解明し,この新規の蛋白質組み継ぎ機構の反応論を一般化することを目的として、以下の諸問題点を明らかにした。 I.正常およびタグつきVDEエンドヌクレアーゼの製造・精製・試験管内スプライシング反応機構の解明(分担研究者・安楽泰宏):下記のポリペプチドの大量精製法を確立し,反応解析を行い,結晶化に成功した(A),WT-VDE;(B),XC-VDE;(C),XA-VDE;(D)XC-VDE-His(x6);(E),MIIYVG-VDE-VMAlC,(A),(C)を対照として,(B)の切断・組み継ぎ反応解析し反応の至適温度,pHを決定した.(D)を精製し,精製された(D)単独で切断組み継ぎが生ずること,(E)を用いて組み継ぎ部位のアミノ酸配列を決定した.上記5種のポリペプチドに加えて,GST-Vmal融合蛋白をプローブとして,スプライシング関与するVDE領域中の機能性アミノ酸種を決定した. II.分子遺伝学による平行β鎖構造の機能とスプライシング活性との相関(分担研究者:大矢禎一):スプライシングの反応部位の近傍に位置し、平行β鎖構造を形成するのに重要と考えられる疎水性アミノ酸クラスター領域に着目し,反応に必要不可欠な一次構造上の配列を分子遺伝学的に探査した.即ち、第一切断点(Gly283-Cys284)の外側の領域IIY(279-281)および第二切断点(Asn737-Cys738)の内側の領域VVV(733-735)をランダムな配列に置き換え,スプライシング可能な配列、不可能な配列を酵母の表現型を指標にして選択した.最終的なスプライシング活性の評価は、V-ATPase触媒サブユニットおよびVDEエンドヌクレアーゼ特異的な抗体を用いて、酵母細胞を用いる解析系で行った.この結果,遺伝学的にみて,組み継ぎ反応の開始・進行には平行β鎖の形成が必要であることが判明した.
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