研究課題/領域番号 |
07458165
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川戸 佳 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50169736)
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研究分担者 |
太田 善浩 (太田 義浩) 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10223843)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1996年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1995年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | カルシウム信号 / グリア細胞 / 副腎皮質細胞 / エンドソーム / カルシウムオシレーション / 副腎皮質束状層細胞 / ACTH / ステロイドホルモン |
研究概要 |
生きた単一細胞内におけるステロイドホルモン合成ステップのリアルタイムイメージングを行い、大きな成果を挙げた。 高感度蛍光顕微イメージング法により、カルシウムオシレーションが副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)のセカンドメッセッンジャーであることを発見した。これは20年来の難問を解決したことになる。1pM程度の生理濃度のACTH刺激のセカンドメッセンジャー探しが続いていた。本研究では上記の低いACTH濃度でさえ、ほとんど全ての副腎皮質細胞でCa信号を見いだした。カルシウム信号には大別して、次の3種類が観察された。1)カルシウム濃度の周期的変動、2)定常的にカルシウム濃度が上昇した状態、3)1)と2)の混合状態、であった。Ca信号を捉えるのに成功した原因は、0.01%と少量のTriton X-100を加えることでCalcium Green-1色素による細胞の染色が非常にうまく行くことを見出したことである。ラット大脳グリア細胞を神経伝達物質グルタミン酸/セロトニン/ヒスタミン/ATPで刺激すると、セカンドメッセンジャーであるカルシウム信号を観測した。いずれも100μM程度の濃度で反応を引き起こした。カルシウム信号は1)2)3)の3種類が観測された。グルタミン酸/セロトニン刺激ではこの3種類全てのCa信号が、ヒスタミン/ATPでは一過性のカルシウム濃度上昇のみが観測され、刺激神経伝達物質の違いでカルシウム信号が異なる事を発見した。 高感度ビデオ蛍光顕微イメージング法により、低密度リポ蛋白質LDLを蛍光色素Dilで標識して観測し、ステロイドホルモンの素材であるコレステロールを運ぶLDLの輸送を調べた。LDLがグリア細胞や副腎皮質細胞内のエンドソームに取り込まれたのち、単一のエンドソームが運動する過程を可視化した。単一拉子解析法による解析で、エンドソームが細胞骨格らしいレールの上を方向性を持って高速で滑走する事を発見した。これまで世界的にエンドソームは細胞室内を漂っているという認識であったので、大きな成果である。 共焦点顕微鏡を用いた断層撮影により、ステロイドホルモンの素材であるコレステロールレゾルフィンがミトコンドリアに輸送され、P450sccによりブレグネノロンと蛍光性レゾルフィンに変換される様子をレゾルフィンの蛍光でリアルタイムで可視化した。
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